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●スポーツ整形外科医としてのアドバイス


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自己治療に頼りがち。しかし・・・

『スポーツマンには、ケガはつきもの』といわれるように、多くの人が足首を捻ったりして、足を引きずって歩いた経験があるのではないでしょうか。『このくらいの痛みなら大丈夫だろう』と、病院へは行かず市販の湿布薬を貼って処置してしまうことも少なくないでしょう。
しかし、ケガをした部位の腫れが非常に強かったり、翌日痛みがひどくなって歩けなくなったというような状態であったら、すぐに病院に行くことをすすめます。関節のケガは、レントゲンでもわからないことが多く、関節が腫れている場合、靭帯が切れていることがあるので、早いうちに正確な診断を受ける方が良いと思います。
また、はっきりとした原因がないのにかなり強い痛みがある場合、痛風などの内科的な病気や骨腫瘍といった場合もあるので必ず病院へ行くようにして下さい。
捻挫や打撲といったケガは、RICE 処置【後述参照】を確実に行った後、骨や靭帯に異常はないか、一度は病院でしっかり診てもらい、問題がなければその後湿布薬を貼って様子をみても構わないと思います。


 自分に合った有効な治療を受ける

ケガをした際、どの医療機関へ行くべきか迷うことも多いと思いますが、頭と腹部以外のケガなら、患者さんの話をよく聞いてくれる整形外科を受診して下さい。
『整形外科』は全身(頚から下の内臓以外)の運動にかかわる骨や関節、筋肉、神経、血管を対象に治療するところです。投薬などの内科的治療のほか理学療法、運動療法、装具、関節注射、神経ブロックなどの各種保存的治療とともに外科的手術を行い、運動機能を正しく保つための治療を行います。
一般的にはレントゲンによって骨折や老化現象の有無を確認をしながら診察していきますが、レントゲンには靭帯や軟骨といったものは写らないため、しばしば、レントゲン上だけで診断するところでは、障害が見落とされてしまうことがあります。(*特にスポーツ障害の場合、靭帯や軟骨などに問題があることが多いため、レントゲンだけで異常がみつかる事の方が稀です。)
これらの障害を診断するには経験を要するため、たくさんの症例を見ている経験豊富な専門医を訪ねましょう。レントゲンを撮る方法をかえたり(例:ストレスをかけての撮影)、靭帯や軟骨まで写るMRIなどを行い、診断をしてくれ、手術の適応かどうかの判断も、患者さんの状況にあわせて相談にのってくれます。
インフォームドコンセントという言葉ばかりが独り歩きしていますが、整形外科では命にかかわる疾患は少なく、脳神経外科などと違って絶対的手術適応も殆ど無いので十分な説明を受けたうえで納得のいく医療を受けることをお薦めします。医師によって治療方針に差が出ることも珍しくありません。疑問があれば他の病院の医師にセカンドオピニオンを求めることも必要です。ただし『手術をしない』と自分で決め、同じ意見の接骨院を探して通院すると言うのではセカンドオピニオンにはなりません。



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